・インプレッサチューニング日記 |
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・チューニングを仕事で行う事が稀にある。
・引き受ける条件は・・・
・急がない(合間に・・)
・お付き合いが長い
・その代わり安い・・・
で、今回はインプレッサGC8
チューニング内容
・GDBと言うGC8より新しいタイプのエンジンのブロックに変更する。
・ポンカム取付
・メタルヘッドガスケット1.5mmに変更
・ポート研磨&燃焼室修正
・大容量インジジェクターに変更。
・バルブステムシールは交換、ピストンリング交換?検討中。
・Fブレーキに4ポットディスクに・・・
・Fフェンダーとドアの板金&塗装(サービスで・・)
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・降ろしたGC8のエンジン。 エンジン型式EJ20
・聡明な読者はここで疑問が沸いて来ると思う・・・なぜGDBエンジンをそのまま搭載しないか?
・本当の事をお話しすると持ち主がGDBエンジンを持って来て「これに積替えて。ほぼそのまま加工なしでのるきい」と流暢(りゅうちょう)な土佐弁で言ったのが始まり。
・私も「そんな簡単な事、自分でやれやー」と思ったが・・ポート研磨等を本人がやりヘッドGK取替えて積むだけなら・・まあ知り合いやし・・と安易に引き受けたのが地獄の始まりでした。
・作業をやっているうちにあちこち問題が発生。まずカムセンサーとクランクセンサーの突起形状の違い。ブロックのクランクセンサーは取替え可能だがカムセンサーの信号の違いがどうにもならない。
・カムスポロケットに突起物があるのだがその形状が違う。GDBのカムスポロケットはあろう事かプラスチック・・・加工は難しい。かと言ってGC8のスポロケットはGDBのカムに装着不可能・・・カムスポロケットを莫大な費用をかけて制作したら間違いなく「まぬけ」と言うレッテルを貼られる。
・ならカムをGC8用に・・・装着できない。カムのジャーナル径が微妙に違い装着不可能。EJエンジンには4種類のカムがあるそうです・・・
ではフルコン付けてGDBエンジン用にセッティング・・・いやすでにアペックスのフルコンが付いている。アペックスフルコンは車種専用。その上、エアコンにも信号が入っているので汎用のフルコンではあちこち不具合が出そう・・・
・最大の問題は予算だ。持ち主の名誉の為に記載しておくが持ち主は、やれやれ詐欺の犯罪者ではなく善良な一般国民だ。
・そうゆう経緯がありブロックGDBでヘッドGC8 カムはもちろんGC8用で行く事に。 |
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・カム周辺等の社外部品を注文入れる場合はエンジンルーム内のプレートのアプライドモデルの項目の番号を伝えよう。ただ落とし穴がありもしエンジンを改造されていた場合、プレートを見て注文したのにカムが装着できない!!と言う困った事にならないように気を付けよう。 |
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・GC8のブロック シリンダー周りのリブがGDB(下画像)と比べて少ない。 |
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・GDBブロック リブが増えて強化されている。 |
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・GDBピストン GC8に比べて形状が違う。
・GDBブロックにGC8のヘッドを組み合わせた場合、ヘッドGK1.5mmで圧縮比約9になる。ターボとしては少し高い。ピストンをGC8用に交換するか・・・ただ形状がおかしい・・・ピストン頭部にくぼみを付けるのは圧縮比調整で良いとしてもまさかの四角はないだろう・・後で考えよう。 |
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・まずはルータでポート研磨。
・インマニGK エキゾーストGKに合わせて段付き修正。シートリング付近の段付き修正を行う。シートリングを削りすぎるとシートカットが必要になるので慎重に削る。
・ルータシャフトは直径6mmは欲しい。3mmシャフトだと弱いので少し強く押し付けたら曲がってしまいシャフトが大暴れしてしまう。
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・ルーターでひと通り削ったら一度洗浄する。合間に洗剤を霧吹きで吹きつけておく。
・洗剤は酸性が強力だがアルミがボロボロになるのでアルカリ性の洗剤を使用する。これは100均のものでも十分。酸性に比べて落ちは悪いが根気良く合間に吹きかける。たまに歯ブラシで擦っておく。
・GDBのヘッドの形状はごく一般的だが画像のGC8用はクローバー型。ピストンが上がって圧縮した時に圧縮空気をかき混ぜて燃焼効率は良いがノッキングもしやすくなる。これは考え物だ・・ターボの場合ノッキング発生 即ブローのリスクが高まる。日産のRBエンジン等の場合はスキッシュエリアをあえて削るチューニングがある位だ。EJエンジン情報を調べてみるとGDBになって以降、一般的な形状になっている。燃焼室を削るか・・・圧縮比も落ちて都合は良い・・しかし肉厚は確保できるか・・・なんでこんな事したんだスバル・・私がなんでこんなリスクを・・人々の思惑が交錯するのであった。ひとまず先送りしよう・・・
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・そこそこ汚れが浮いて来たら水洗いをしてエアーで水分を飛ばしCRCをかけて再びエアーで飛ばしておく。
・ルーターに回転ペーパーを取付て磨いて行く。ペーパーが大きいので使い古して小さくなった物を使用する。ペ−パーは120番。ルーター後を消していく。奥の方は入らないので残しておく。
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・もっと小さくなったペーパーを駆使して出来るだけ奥まで削る。 |
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・だいぶ綺麗になった。 |
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・ペーパーがちびて小さくなって来たらバルブ側も磨く。 |
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・奥の方はルータのシャフトにペーパーを何重か巻いてテープでとめて磨く。ペーパーは120番。エアーが高すぎるとペーパーが吹っ飛ぶのでエアー圧を落としてゆっくりと磨いて行く。 |
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・あらかた120番でのルータペーパー磨きが終わった。 |
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・インマニGKに合わせて入口は研磨。仕切りの所は出来るだけ鋭角に削って空気を切り裂くような形状にしたいが水穴が通っているのであまり削ると水漏れになり大惨事になる。昔、Tig溶接で修理を試みたがまず無理と考えてヘッド交換になる。 |
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・この後、手作業による120番となるがここまで来れば後の作業は早い。最後はコンパウンドで磨く。
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・全ポートが120番まで終わった。ポートはひとまずそこで作業を中断して燃焼室に移る。
・1.5mm厚のヘッドGKを使って圧縮比が9なので8.5〜8.7辺りに下げたい。燃焼室形状が良くないので形状を変えたい理由から燃焼室加工を行う。
・マシニング(コンピューター制御のフライス)等の機械を使えば作業は速く楽だがデーターを取るのにどちらにしろ手作業で一度、加工・仕上げを一か所、行いデーターをとらなくてはいけない。シートリングが全て高さが同じなら良いが微妙に違うので全てを機械加工した場合にシートリングまで削ってしまう気筒が出て来る可能性がある。シートリング入替前程で次からもGC8のEJ20ヘッド加工が仕事として行うならやる価値もあるがまずない・・・ので今回は手作業で行う。 |
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・シートカットは出来る限り行いたくないが想定 覚悟は必要。
・まず古いGKに合わせてマジックで円を描く。 |
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・直線部分も描く。
・斜線の部分が今回、削る部分。 |
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・一応、マスキングテープで養生しておこう。 |
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・粗目のルーター歯でどんどん削っていく。 |
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・あらかた削ったら仕上げの歯に交換して削る。 |
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・終わったらベルトサンダー120番で削る。
・この気筒はここで作業を中止して容積を計り次の気筒へ容積を合わしながら進んで行く。
・最終的にはポート同様ピカピカに仕上げるので・・・・気が遠くなるような作業・・・
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・これはGDBヘッド。これが一般的な燃焼室形状です。 |
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・GDB用のバルブは使わないのでとりあえず装着してバルブのわきもベルトサンダー120番で削っていきます。とりあえず60番程度のペーパーでも良いのですが手持ちが120番だったのでそれを使っています。 |
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・全気筒ベルトサンダー作業が終わったらちょっとしたデコボコを80番のペーパーで手作業で削って平らにします。板金です。 |
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・角が丸くなるように削っていく。
・角があったらお客様が指をきってPL法に基づいて訴訟を起こされるからだ・・・ってはずはなくノッキング防止対策です。
・ノッキング(異常燃焼)は角等プラグでない所が熱くなり着火すると言う物で通常の燃焼の何倍ものエネルギーを発生させてヘッドやピストンを破壊すると言うものです。発生したらチリチリと言うような音が出ます。NA(ターボなし)の場合はアクセルを離せばまだ間に合いますがターボの場合、一気に破損に至ります。
・ノッキング発生は燃料が薄い状態でも発生します。
・NAのフルコンインジェクション仕様で以前、セッティングしていて助手席で燃料調整していたのですがドライバーが不慣れな者だったので燃料が薄くエンジンが吹けあがらない領域でも踏みつづけノッキングが出たので「アクセル離せ!!」と言ったのですがパニックになりアクセルを離すのが遅れ・・・ピストンが砕けてバルブが折れてタコアシから出て行くのを確認しました。
・そのスタッフは次の日から仕事に来ませんでした・・・ |
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・全気筒が終わったらマスキングを外し角を丸めます。 |
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・マスキングが貼られていたスキッシュエリアの直線を丸くします。
・次は全気筒が終わったのでGC8のバルブ磨きと重量合わせを行います。 |