| 第6回 嗚呼〜 哀愁のL型物語2話 |
月日は早いもので瞬く間に1カ月がたった。私が言った。「ローンを組むしかないのか・・」
Bが震える拳を握り締め言った。「未成年の場合、親の保証人が必要だぞ」「その前にアンディの店に行ってみよう。」一同、黙り込んだ。
格闘家アンディフグに似ている雷おやじが経営している店だ。その上、番犬に凶暴なパトラッシュがいる事で有名だ。アンディにかかと落としを喰らったら・・生きては帰れない。一同、恐怖におののいた。私が言った。「太平洋戦争に比べたら大した事はない・・・」皆、戦争は経験がなかった。完全に外してしまった・・・
なんとか勇気を振り絞りアンディの店に訪れるのにそれから更に1カ月の月日を要した。Aは農家の息子で稲刈りまで時間がない。
パトラッシュに餌をやりクリヤー、ラッキーな事に奥さんは不在のようだ。アンディは空手家だが計算には弱い。アンディに「ターボを探しています。ないですか?」緊張した私に対してアンディはあっさり「あるよ」と言った。アンディが工場の奥から出した来た物はTO4B L型キットだ!!中古だが使えそうだ。すかさずAが言った。「いくらですか?」アンディはスキンヘッドに近い角刈りの風貌には似つかわしくもない満面の笑顔で「3万円」と言った。3万円と言えば当時、聖徳太子が3枚分と言う大金である。3人の手持ちを合わせても3千円弱しかなかった。Bが言った。「お母さんに借りて来る」大ボラ吹きのBの成長には目をみはるものがある。Bはそのまま戻って来なかった。
それから数日して3人でなんとか3万円を工面してターボキットをアンディからゲットした。
31Zのボディはレストアしてシルバーに自家塗装している。エンジンを組み始める。エンジンスタンド等と言うものはなくあっても貴族しか購入できない高価な物だった。もっぱら廃タイヤの上やビールケースの上で組んでいく。部品洗浄には母親の目を盗んで持って来たサンポールを水で薄めて使うのが正当な方法だ。
雑誌のバイブルを頼りにヘッド・ブロックと組んでいった。そして完成。いよいよエンジンルームに納める時が来た。
車庫の上に角材を渡し、チェーンブロックでエンジンを吊り上げエンジンルームに収める。なかなかミッションに合体してくれないが皆の努力で合体成功した。
タービン+マニホールドを取り付け、その後、インマニ・ウエーバーを組み付けた。その後、HKSサージタンク・パイピング今、思えばオイルクーラーか?と思えるようなインタークーラーを取り付けてなんとか形になった。キャブはターボの圧がかかるのでフロートのフタの部分をアルミ充填材であらかじめ埋めておいた。完璧だ。
いよいよエンジンをかける。セルをまわすが・・・全く、かかる気配がない・・・何日も考えたがわからない・・・燃料は来ている。プラグから火も飛んでいる。なぜ・・・Bが言った。「アンディに聞こう」皆、異論はなかった。アンディに事情を話し黒電話で聞いてみると「カムの位置を合わしたかや?」と流暢な土佐弁で言った。皆、目からうろこが落ちた。「そんな位置があったのか?」呆然とした。アンディは続けた「クランクプーリーの刻みを0にあわせて、カムが上向いて・・スポロケにVのマークがあるろうが・・・カムの−マークと合わせて・・」なるほど・・・やるなアンディ・・皆、感動した。アンディの言う通り組みなおしてみるとエンジンがあっけなくかかった。ヘッドGKが3mmもあったのとラッキーなカム位置でバルブがあたってなかったので幸運だった。もちろんヘッドGKもメタル製の中古だ。
エンジンを掛けて様子を見ているとなんだか吹かしたら異音が聞こえる・・・皆、叫んだ!!「なんじゃコリャー」
次号に続く。 |
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